ベガ  ターフに煌く 名花

   2014/10/25

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桜花賞馬ハープスターの祖母である
ベガもまた桜花賞、オークスを制覇した
名牝であります。

ベガの血統を見ると父は凱旋門賞馬で
新進気鋭の新種牡馬トニービン、母 アンティックヴァリューは
二十世紀最高の種牡馬といわれ社台の吉田善哉氏が
是非ともその血を導入したいと考えていた
ノーザンダンサーの直子でありました。

そんな良血のアンティックヴァリューでありましたが
彼女にはある身体的特徴がありました。

それは脚部が不自然に内側に曲がっている
「内向」という競争馬としての欠点ともいえるものでした。

仔馬であったベガも成長とともに
一目見て分かるほど左前脚が曲がり始め
「内向」となりました。

競争馬はロボットではありませんし、
生身の生き物である以上いろんな身体的特徴を
持って生まれてくるものです。

しかし500キロ近い体重を支えて疾走する
サラブレッドにとって脚の異常は競争生命さえ脅かします。

ベガもそんな事情で誕生当初は社台レースホースで
一口馬主を募る予定でしたが
結局善哉氏の妻和子さんの個人所有馬となりました。

ベガの顔には白い流星があり
そしてその流星のなかに
いくつかの小さな斑点がありました。

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それを見た和子さんの孫が「織姫星」に例え、
ひかり輝く星のごとく人々の願いを叶えてくれるようにと
ベガという星にちなんだ名前を付けたのだそうです。

ベガを管理することとなった松田博資調教師は
少しのことで故障がちになってしまう彼女の脚に
悩みつつも試行錯誤を繰り返しながら、

それでも彼女の類まれな柔軟性と
頭の良さに一縷の望みをかけながら

やがて脚に極力負担のかからない坂路調教という
調教方法により彼女の才能を開花させます。

初めてベガにまたがった武豊騎手は
彼女のバネのような乗り心地に

「この馬オークス取れますよ」と
関係者に話したそうです。

その言葉通りベガは桜花賞のみならず
オークスのタイトルをも手にいれたのでした。

その後は脚の故障などで身体のバランスを崩し
大きなタイトルを取ることはできませんでしたが

彼女は競争馬として大きなハンデを持ちながら
それをも克服する資質を合わせ持って生まれた名牝なのです。

もしベガが丈夫で健康な脚をもって
うまれたなら・・・と思わずにはいられません。

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